2007年11月アーカイブ

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BOOKS+コトバノイエの website が完成した。


完成したといっても、日々変化させていかないとすぐに古びてしまうのがインターネットの世界だから、
ほんのはじまりにしかすぎないけれど、とにもかくにもスタートである。

まずは474冊のブックリストからのはじまり。

「コトバノイエ」という家造りのプロジェクトがこんなところまでくるなんて想像もできなかったし、
少し前までは思ってもみなかったことが、こうやって現実になってしまっていること自体すでにかなり
シュールなことだけど、この小さな試みがこれからどういう風に進んでいくのかとても楽しみだ。

なによりも、このコトバノイエの本棚を通してなにか新しい出会いのようなものがあれば、と思う。

今はただ、世の中の人すべてに、どうぞよろしくお願いしますと、伝えたい。


とりあえず、乾杯 !



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どういう加減かはよくわからないけれど、なんだかとてもいいバランスで本が買えることがある。

そもそも本を買うという行為は、そのコンテンツがわからないままに行うというちょっと冒険的な消費
行動で、買ったもののほんとうの価値が、「読む」というかなりやっかいなアクションを重ねてからでし
かわからないものだから、その場のカンや感性といったものに左右される要素が大きいし、だからこ
そ、それがうまくいったときのウレシサは格別だ。

もちろんモノとしての本という側面もあって、CDやレコードと同じように「ジャケ買い」という感覚的な
スタイルも存在するし、それが本棚にあるだけで満足っていう本もたくさんあるけれど、そういうことも
含めてその日に買った何冊かの本が、しっくりと気持ちのなかに収まることは、毎週のように書店に
通っていてもそれほどしょっちゅうあることじゃない。

そんな風にすこしウキウキした感じで持ち帰った本を眺めていると、たぶんどの本も同じくらいに面
白そうに思えることが、そのいい感じの理由だということに思いあたった。 

無理矢理買ってしまったり、惰性で選んだりした本がそのリストに混じっていると、なんとなく濁った
雰囲気になってしまうんだ、きっと。


そんな better day の8冊の本たち。


カポ
ーティとの対話    ローレンス・グローベル/川本三郎訳  文藝春秋  19880401初版

Capote(カポーティ)という名前だけで、すでに文学的。

古くはオードリー・ヘップバーンの「ティファニーで朝食を(1958)」、最近ではフィリップ・シーモア・ホ
フマンが主演男優賞でオスカーを受けた「Capote」なんかで、けっこう名前は知られているけれど
じつはティファニー以外の著書を読んだ人はそれほど多くないんじゃないかと思う。

17才で得た雑誌「The New Yorker」の仕事はただのコピーボーイだったそうだけれど、11才で小説
を書き始め、19才で「ミリアム」を発表し、そのデビュー作でオー・ヘンリー賞を受賞したということだ
から、充分早熟の名に値する。

そしてなんといっても「冷血(In Cold Blood)」。

ノンフィクション・ノベルというまったく新しい文学のジャンルを創りだしたこの作品は世界中でセンセ
ーションを起こし、たとえば沢木耕太郎なんていう人もこの作品がなければ、ひょっとしたら作家に
なっていなかったんじゃないかと思うくらいだ。

ただこのベストセラーのインパクトが作者自身をも縛りつけてしまったようで、晩年になってコカインや
アルコールに耽溺したのは、それ以上の作品を書かねばならないというプレッシャーが大きすぎたん
じゃないかと想像する。

「無垢」とか「孤児」といった fragile なものへの憧れを、ホモセクシュアルらしい細やかなセンスで
描き続けた人だけれど、その遺作(未完)が「叶えられた祈り(Answered Prayers)」という、なんとも
はかなげなタイトルでありながら、実はニューヨーク・セレブリティの大暴露「ノンフィクション・ノベル」、
しかもそれがスキャンダラスなのに下品じゃないっていうところがカポーティのカポーティたる所以。


なぜデザインなのか    原研哉/阿部雅世  平凡社  20071001初版

今デザインを志す若い人が、弟子入りしたいと思うデザイナーランキングがあれば、間違いなくその
ベストファイブに入っていそうな、今をときめく「インターナショナル」な二人のロング対談集である。

「コト」のデザインとか「記憶」デザインとか、プロのクリエイターにとってはごく当たり前の認識を、
さもそれらしく自分のメッセージにできるセンスは、業界のトリックスターならではのものでしょう。

あるいはそれだけこの国に mature な消費者や professional な制作者が少ないということか。

偏見かもしれないけれど、それに比べるとヨーロッパで18年生きている女性は、なんとなく地に足が
ついている感じがします。

それにしても、よく書けたりうまく話せたりするクリエイターって、なんとなくウサンクサイ。


ロビンソン夫人と現代美術    東野芳明  美術出版社  19861010初版

このタイトル「ロビンソン夫人」っていうのはなんとなく浮かんできたフレーズで、別になんの意味も
ないものだから、好きなように考えてくださいっていうのが作者あとがきの言。

なんにせよこの人の本はとにかく高い!(この本も定価はなんと4,800円)

現代美術の評論なんて難解すぎてあまりよくわからないことが多いんだけれど、70年代のパフォー
ミング・アートのDIVA、ローリー・アンダーソンのポートレイトが表紙になっていたので思わず買って
しまった。

ちゃんと読めるかどうかちょっと心配だけれど、本棚では光ります。


球場へいこう    ロジャー・エンジェル/棚橋志行訳  東京書籍  19941003初版

東京書籍のアメリカ・コラムニスト全集の一冊。

「NEW HORIZON」で有名な教科書屋さんだけれど、このシリーズは、ソフトカバーのカジュアルな造本
もカッコいいし、コラムニストのセレクションも素晴らしい。

比較的安価で売買されているようなので、できれば揃えてみたいとひそかに思っています。


タクシー狂躁曲    梁石日  ちくま文庫  199905208刷

映画「月はどっちに出ている」の原作。

伊丹一三のエッセイなんかにもでてくるけれど、世間という世界の最前線にいるタクシードライバー
の話が面白くないわけがない。 ましてそれが猪飼野生まれのHIPな在日コリアンの手にかかる
ものならなおさらだろう。

名作と名の高い「血と骨」のハードカバーも持っているけれど、未だ読んでいない。

「梁石日がぼくに突き付けたものは、ぼくが入らなかったそうした洞窟の数々である。」という松岡
正剛さんの独白がこの人の文学をうまく表現してるんじゃないだろうか。


お能    白州正子  角川新書  19630830初版

白洲正子のデビュー作、単行本は1943年(戦争の真っ最中だ)に出版され、その後(1974)駸々堂
出版 から再出版されている作品だけれど、この新書オリジナルはかなり珍しいでしょう。

白洲正子は植草甚一と好一対。
その上品でストレートな物言いや、美しいものに対するこの人の切り口は、日本では数少ない「上流
階級」というものの存在を感じさせる。

「かくれ里」は、若かりし白州さん渾身の名著。

そのうちサイトの「SPOT LIGHT」で特集したいと思っています。


ビートルズ    きたやまおさむ  講談社現代新書  1992062611刷

ビートルズではなく北山修は、70年代のカルトヒーローの一人でしょう。

あっさりとフォーク・クルセダーズを解散して、精神科医におさまってしまった人だけれど、彼が作詞
した「戦争を知らない子供たち」「あの素晴しい愛をもう一度」「風」「白い色は恋人の色」といった、
sweet-honey なフォークソングを、必ず歌えるという世代が、間違いなく存在する。

それにしても、「はしだのりひこ」という人は、ひょっとしたら異形の才人ではなかったんでしょうか。

あとビートルズって、今では神様みたいな扱いだけど、リアルタイムではそんなに人気のある(誰も
が聴いているなんていう)グループじゃなかったような気がするんだけど、錯覚だろうか。


COYOTE  NO.17 May 2007    スイッチ・パブリシング  20070410

今どきの自然志向サブカルチャー雑誌

一見「チョイ悪オヤジ」と正反対のところにいるような体裁だけれど、じつは根っこのところは同じ
コインの裏表のようなものなんじゃないかと思う。
幻想を抱かせるのももちろん雑誌の効能のひとつだけれど、団塊世代へのマーケティングがあまり
あからさまに見えてしまうと、興ざめしてしまいそうだ。
連載の「片岡義男の本棚」というコラムに惹かれて買ったんだけど。

*

もうバレちゃったかも知れませんが、本買記ってじつは未読記でもあるんです。

読んでいなけりゃなんでも言える。


*




 
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古書店で本をいただいた、それも古書ではなく新刊。

 

創業100周年記念 天牛書店洋古書目録         天牛書店       20071025

 

厳密にいうと新刊本ではなく、古書目録という古書店のカタログなんだけれど、小ぶりながら(183 x 152mm)

きれいに造本されたこの目録は、この老舗の10 decade にふさわしい堂々たる出来映えで、体裁においても

コンテンツにおいても、「本」と呼ぶに値する物体だと思う。

 

モノの本によると、絶版になった本を「古書」、出版社がまだストックしている在庫本を「古本」、近世以前の

稀覯書を「古典籍(antique)」と呼ぶらしいが、創業100周年記念として、100冊の洋古書を「100 Selected Antique

Books」として目録にするとは、なんとも心憎い演出だ。

 

文学24/歴史・地誌・文化16/宗教・哲学・思想11/自然科学6/古地図20/美術23 という6つのジャンルに

類別され、カラーで撮影されたそれぞれの洋古書はどれも魅力的なものだけれど、1907年にホノルルで刊行

された「HAWAIIAN FISHES」というクロモ・リトグラフ(多色石版)、いわゆるアンティーク・プリントの魚類図版

(600,000円)や、1920年代に撮影されたアール・デコのヌード写真集(380,000円)、ピカソが床材をつかって

制作した版画「リノリウムカット集」(240,000円)なんかは、垂涎といってもいいものなんじゃないかと思う。

 

天牛書店といえば、織田作之助の「夫婦善哉」に登場したり、若き日の安藤忠雄が当時は道頓堀にあったこの

古書店でル・コルビュジェの作品集と出会ったことがきっかけでパリへの旅に出かけたことや、司馬遼太郎の

歴史小説の資料源であったことなど、伝説にこと欠かない大阪の大老舗だけれど、本の売買がITの時代になった

今も、良質の古書をほんとうにリーズナブルな価格で提供し続けてくれていることに、感謝したい。

 

この目録に掲載された稀少な古書だけでなく、10万冊といわれる江坂本店の本棚は、古本フリークにとっては

尽きることのない鉱脈のようなものなんだ。

 

新米古書店の店主としては、「古本や古道具いうもんは、その本や道具を買っていただくのと違って、その店の

主人を買っていただく、そう思てます。」という創業者天牛新一郎さんのコトバを肝に銘じるばかりです。

 

それにしても、通い続けている古書店からさりげなく声をかけられるなんて、そこはかとなくウレシイ。



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で、その天牛書店で買った本たちはこんな感じ。


11607  ピカソと愛犬ランプ     D・D・ダンカン  ランダムハウス講談社 20070720初版 NF ¥2,000

ピカソと同じ年に亡くなった、ダックスフントの愛犬ランプとピカソのモノクロ写真集。
ピカソの画にでてくる胴の長い動物は彼です。
それにしても、愛犬が写真集になるとは、さすがピカソというべきでしょう。

11604  ポートレイト・イン・ジャズ     村上春樹/和田誠   新潮社 19971220初版 NF ¥1,800

村上春樹と和田誠のJAZZ、もちろん悪くはないんですが、なんとなくエスタブリッシュな「クサミ」を微かに感じます。
少なくとも HIP なニュアンスはまったくありません。
あたりまえか。

11608  北欧デザイン手帖     レスパース編   文化出版局  20071014初版 NF ¥1,400

コトバノイエでつかっている3本足の赤の ANT CHAIR(designed by アルネ・ヤコブセン)が載っていました。
それにしても北欧デザインのプロダクトはどうしてこんなに優しくてしかも力強いんだろう。
なかなかいい写真が揃った良質のフォトブックだと思います。

11609  '64 東京オリンピック     朝日新聞社   19641215初版 FR ¥1,000

A4サイズの写真集、この前のディランからの流れ(年代)で買ってしまいました。
鮮やかに蘇る記憶、すべてが懐かしい幸福なオリンピックの姿があります。

雑誌は、
ENGINE 2007/11月号
そして古本としてはちょっと珍しい高級誌 
I'm home 2005/autumn

文庫本は、ちくま文庫の大量放出があったようで、その中から、

30449  天皇に関する12章     南方紀洋   ちくま文庫  198902105刷 FR ¥150

30452  豆腐の如く     斎藤茂太   ちくま文庫  19980820初版 FR ¥150

30453  怪人オヨヨ大統領     小林信彦   ちくま文庫  19930324初版 FR ¥150

などをピックアップしました。

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先週買えなかった本があった。


基本的に古本は一品限定で一期一会のものということはよくわかっているけれど、なんとなく思い切れない本がある。

この本もそんな感じの一冊で、その時は今度来たとき残っていたら買おうなんてちょっユルく考えていたんだけれど、

だんだん想いが募ってきて、もし売れてしまっていたらすごく後悔するんじゃないかと考えたら(何回となくそんな

悲痛な経験があるわけです)居ても立ってもいられなくなって、走った。


幸いその本は当たり前のように先週と同じ棚の同じところに鎮座していて、あったらあったでやっぱりこんな本を

欲しがる人なんてそうそういるもんじゃないんだと、あせった自分が少し恥ずかしかったり、ちょっと複雑な気分。


ドント・ルック・バック : ボブ・ディラン1964-1965  Daniel Kramer B・インターアクション 19941013 初版


最初に躊躇してしまった原因がみうらじゅんのカバーであることは明白だが、よく考えてみると1964-1965というのは

ディランがたぶんいちばんスリリングだった頃で、フィルム「Don't Look Back」にも活写されているあのHIPな雰囲気の

ディランの写真集が悪いわけがない。


アルバムでいうと4枚目の「Another Side of Bob Dylan」とその次の「Bringing it all back home」の間、泣きながら

「It's all over now, Baby blue」を唄ったという伝説のニューポート・フォーク・フェスティバルが1965年7月25日

だから、いわゆるフォークロック(というよりロックそのものだ)という新しい音楽のスタイルのまさに黎明期で、

アルバム「Bringing it all back home」の録音風景(1965年1月14日と15日のたった2日で録音されたらしい)や、

そのコンサートツアーの様子が撮られていて、すでにギターは黒のフェンダー・ジャガー(たぶん)である。


写真はモノクロ。

アングルや粒子の感じからするとおそらく手持ちの35mm、ニコンのSPあたりで撮影されたものじゃないかと思う。


ほとんどカメラを意識していないような(23歳という自意識の強い年代の若者だから撮られていることを意識して

いないはずはなく、きっとカメラを意識しない自分というものを意識しているはずだ)クールな表情の合間に見せる

ディランのリラックスした笑顔からすると、このフォトグラファーが彼に信頼されていたことがよくわかる。

「Bringing it all back home」のジャケット写真も、ディランが直接このクレイマー氏に依頼したものらしい。


「風に吹かれて」をはじめとする一連のプロテストソングで注目を浴びたディランだけれど、この頃にはすでに自分が、

one and only なアーティストであるということをはっきりと自覚していたようで、そのアルバムには「HIP」というより

「ビート」的とでもいったほうがいいような言葉がちりばめられていて、そのシュールな世界を表現するためには、

牧歌的なアコースティックの音ではなく、より noisy なエレクトリックサウンドが必要だったということなんだろう。


とにかく愛や恋ではなく、難解な現代詩のようなものがポップソングの歌詞になってしまうというのは、今でこそ

それほど珍しくはなくなってしまったけれど、この時にはかなり衝撃的だったに違いない。



ちなみに、そのころ日本では、「東京五輪音頭」と「君といつまでも」だったそうです。



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10927 ボブ・ディラン全詩集 WORDS by Bob Dylan 片桐ユズル訳 晶文社 19760530 3刷 FR  ¥2,000  

ある意味バイブルです。
「New Morning」までのディランの全作品の訳詞集、英語版と翻訳版が収められています。
訳者の片桐ユズルさんは京都の喫茶店ほんやら洞を拠点に"オーラル派"として活動したフォーク運動シンパの詩人。
いわゆる「日本のフォークソング」独特のクサミがあって、古典的としかいえないものですから、いまとなっては英語版
のみにこの本の価値はあるのではないかと思います。


10467 ディラン、風を歌う SONG & DANCE MAN マイケル・グレイ  晶文社 19730825 1刷    FR   ¥700

ディランに嫌われた「ディラノロジスト」によるディラン論。
そもそもディランを解説するという行為自体がHIPではありません。


10034  Rolling Thunder Logbook  Sam Shepard A Penguin Book 1977

1975-76年の伝説ツアー「Rolling Thunder Revue」を映画にすべく同行した脚本家のツアー日誌。
「Hard Rain」にその一部、そして2002年に発表された「Bob Dylan Live 1975 -The Rolling Thunder Review」に
その全貌が収録されているこのツアーのディランは圧倒的にスゴイです。
この本はそのツアーのリアルな姿を伝える唯一の文献だと思いますが、「ディランが街にやってきた-ローリング
サンダー航海日誌 」という翻訳がサンリオから出版され、後に河出書房の文庫になっているらしいです。
どちらも欲しい。


11602 Bob Dylan THE ILLUSTRATED RECORD  Alan Rinzler Harmony Books 1978

その名のとおりのレコードサイズの図版。
1962年のファーストアルバムから1978年の「Street Regal」までの様々なディランのグラフィックが載っています。
貴重な写真やポスターに一見の価値アリ。


20137 レコード・コレクターズ  FEB.2006/VOL.25  BOB DYLAN 1961-1966  ミュージックマガジン   ¥500

スコセッシの60年代のディランを描いたノンフィクション映画「NO DIRECTION HOME」のあれこれ。


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