bringing it all back home

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先週買えなかった本があった。


基本的に古本は一品限定で一期一会のものということはよくわかっているけれど、なんとなく思い切れない本がある。

この本もそんな感じの一冊で、その時は今度来たとき残っていたら買おうなんてちょっユルく考えていたんだけれど、

だんだん想いが募ってきて、もし売れてしまっていたらすごく後悔するんじゃないかと考えたら(何回となくそんな

悲痛な経験があるわけです)居ても立ってもいられなくなって、走った。


幸いその本は当たり前のように先週と同じ棚の同じところに鎮座していて、あったらあったでやっぱりこんな本を

欲しがる人なんてそうそういるもんじゃないんだと、あせった自分が少し恥ずかしかったり、ちょっと複雑な気分。


ドント・ルック・バック : ボブ・ディラン1964-1965  Daniel Kramer B・インターアクション 19941013 初版


最初に躊躇してしまった原因がみうらじゅんのカバーであることは明白だが、よく考えてみると1964-1965というのは

ディランがたぶんいちばんスリリングだった頃で、フィルム「Don't Look Back」にも活写されているあのHIPな雰囲気の

ディランの写真集が悪いわけがない。


アルバムでいうと4枚目の「Another Side of Bob Dylan」とその次の「Bringing it all back home」の間、泣きながら

「It's all over now, Baby blue」を唄ったという伝説のニューポート・フォーク・フェスティバルが1965年7月25日

だから、いわゆるフォークロック(というよりロックそのものだ)という新しい音楽のスタイルのまさに黎明期で、

アルバム「Bringing it all back home」の録音風景(1965年1月14日と15日のたった2日で録音されたらしい)や、

そのコンサートツアーの様子が撮られていて、すでにギターは黒のフェンダー・ジャガー(たぶん)である。


写真はモノクロ。

アングルや粒子の感じからするとおそらく手持ちの35mm、ニコンのSPあたりで撮影されたものじゃないかと思う。


ほとんどカメラを意識していないような(23歳という自意識の強い年代の若者だから撮られていることを意識して

いないはずはなく、きっとカメラを意識しない自分というものを意識しているはずだ)クールな表情の合間に見せる

ディランのリラックスした笑顔からすると、このフォトグラファーが彼に信頼されていたことがよくわかる。

「Bringing it all back home」のジャケット写真も、ディランが直接このクレイマー氏に依頼したものらしい。


「風に吹かれて」をはじめとする一連のプロテストソングで注目を浴びたディランだけれど、この頃にはすでに自分が、

one and only なアーティストであるということをはっきりと自覚していたようで、そのアルバムには「HIP」というより

「ビート」的とでもいったほうがいいような言葉がちりばめられていて、そのシュールな世界を表現するためには、

牧歌的なアコースティックの音ではなく、より noisy なエレクトリックサウンドが必要だったということなんだろう。


とにかく愛や恋ではなく、難解な現代詩のようなものがポップソングの歌詞になってしまうというのは、今でこそ

それほど珍しくはなくなってしまったけれど、この時にはかなり衝撃的だったに違いない。



ちなみに、そのころ日本では、「東京五輪音頭」と「君といつまでも」だったそうです。



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10927 ボブ・ディラン全詩集 WORDS by Bob Dylan 片桐ユズル訳 晶文社 19760530 3刷 FR  ¥2,000  

ある意味バイブルです。
「New Morning」までのディランの全作品の訳詞集、英語版と翻訳版が収められています。
訳者の片桐ユズルさんは京都の喫茶店ほんやら洞を拠点に"オーラル派"として活動したフォーク運動シンパの詩人。
いわゆる「日本のフォークソング」独特のクサミがあって、古典的としかいえないものですから、いまとなっては英語版
のみにこの本の価値はあるのではないかと思います。


10467 ディラン、風を歌う SONG & DANCE MAN マイケル・グレイ  晶文社 19730825 1刷    FR   ¥700

ディランに嫌われた「ディラノロジスト」によるディラン論。
そもそもディランを解説するという行為自体がHIPではありません。


10034  Rolling Thunder Logbook  Sam Shepard A Penguin Book 1977

1975-76年の伝説ツアー「Rolling Thunder Revue」を映画にすべく同行した脚本家のツアー日誌。
「Hard Rain」にその一部、そして2002年に発表された「Bob Dylan Live 1975 -The Rolling Thunder Review」に
その全貌が収録されているこのツアーのディランは圧倒的にスゴイです。
この本はそのツアーのリアルな姿を伝える唯一の文献だと思いますが、「ディランが街にやってきた-ローリング
サンダー航海日誌 」という翻訳がサンリオから出版され、後に河出書房の文庫になっているらしいです。
どちらも欲しい。


11602 Bob Dylan THE ILLUSTRATED RECORD  Alan Rinzler Harmony Books 1978

その名のとおりのレコードサイズの図版。
1962年のファーストアルバムから1978年の「Street Regal」までの様々なディランのグラフィックが載っています。
貴重な写真やポスターに一見の価値アリ。


20137 レコード・コレクターズ  FEB.2006/VOL.25  BOB DYLAN 1961-1966  ミュージックマガジン   ¥500

スコセッシの60年代のディランを描いたノンフィクション映画「NO DIRECTION HOME」のあれこれ。


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このページは、コトバノイエが2007年11月 4日 01:41に書いたブログ記事です。

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