books: 2007年10月アーカイブ

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そもそも買ってきた本を見せびらかす、というのがこの本買記の始まりだった。

建築家Yさんとのゲームのような on line でのやりとりである。 


その原点に立ち返って、ここ何日かの間の「本買」つまり "the books I bought" を羅列してみる。 


まずは10月7日。 


この日は「第7回四天王秋の大古本祭」なるものに行ってきた。 

いわゆる古本市というものを見るのは初めての経験で、最初はなんか本がいっぱいあってワクワクしたけれど

廻ってるうちにどんどんテンションが下がってきた、イイモノないし、ぜんぜん安くもないし。 


旧態依然、どうも基本的に掘り出しものの古書を探している人がいるっていうことを前提としたマーケティング

にしか思えないが、掘り出し物を見つけるためにはそれを判断する力(目利き力)が要るし、目利きになるには

それなりの時間やお金の投資が必要なわけで、今の本好き(本に限ったことではないけれど)の人が求めて

いるのは、そんな面倒くさいプロセスじゃなくて、イイモノ(掘り出し物であったり、目利きが選んだもので

あったり)だけが置いてあるショップから、自分の好みに合うものを選びたいということなんじゃないかと思う。

それももうちょっとカジュアルな雰囲気のなかで。 


でもせっかくだから何冊か買いました。


庭仕事の愉しみ    ヘルマン・ヘッセ  草思社   19960912 12刷 

たてもの曼荼羅    李家正文  人物往来社  19620201 初版 

ベーシックデザイン   馬場雄二   ダヴィッド社  1968110 12刷 

日本さまざま      長谷川如是閑  大法輪閣  19680125 2刷 

日本人と美            竹山道雄   新潮社  19701130 初版 


この中では、元本屋の店員にしてノーベル文学賞受賞者、ヘッセの庭仕事のエッセイが面白そう。

「庭」がひとつのテーマでもあるコトバノイエとしては、このドイツの文学者が庭というものとどう向き合うかに

興味津々。 


あと雑誌のバックナンバーで「Pen」と「LIVING DESIGN」を何冊か。




10月14日の日曜日に行ったのは天神橋筋、ここには何軒か「買える」古本屋さんが揃っている。


梅田での所用のついでに足をのばしたわけだが、そういうついでの時ってイイモノが見つかることがけっこう多い。

この日も何冊か面白そうな本があったので、少し予算(といっても3000円なんですが)オーバーしてしまった。 


SAMURAI 佐藤可士和のつくり方    佐藤悦子  誠文堂新光社  20071001 初版 

今をときめくクリエイター佐藤可士和のビジネスパートナー兼夫人の書いた新古本。 

エディターの視点からのクリエイティブ・ビジネスということで個人的な関心もあったし、広告代理店出身という

彼女の手際にも興味があったんだけれど、嫁でマネージャーというだけでも充分恐ろしいのに、 "才能ある" 旦那

さんへの信仰心が露骨すぎてちょっといただけません。 

何よりも「クリエイターのブランディング」なんていうわけの分からない言葉を一般的にしないでいただきたい。 

早いはなし、旦那をいっぱしのプロに仕立て上げる糟糠の妻のモダン版じゃないですか。 

最後に少しだけ登場する佐藤可士和という人がマザコンに見えてきた。 


彼が本気で「ミケランジェロやピカソやアンディ・ウォーホールのような」時代のアイコンになりたいのなら、

この "ヨーコ・スタイル" はやめたほうがいいでしょう。 

ヨーコと知り合ったときジョンはすでに時代のアイコンだったし、彼は独りでその場所まで行ったんだから。



ああでもなく、こうでもなく    橋本治  マドラ出版  20000301 初版 

東大闘争のカルトヒーローのひとりだから、もう団塊世代の代表的な頭脳といってもいいくらいの人だ。 

この本は「広告批評」に10年以上にわたって連載されているクロニクルの単行本第一弾で、1996年12月から

1999年8月までの時評、単行本も今は5冊目になっている。

この人はとにかく「自分の頭で考える」ということの本尊のような人で、"I am different and I am proud of it"

というこの世代独特の HIP感を徹底して持ち続けているのが素晴らしい。    

ひょっとして天才じゃないかと思う。 



私の書斎     地産出版   19780810 初版     

いろんな人の書斎の写真の中で、最後に植草甚一さんの書斎が載っていたので思わず買ってしまった。

自ら「本の入れもの」といっているスゴイ部屋、2万冊がおさめられているらしい。 

古本と「遊ぶんです」という感覚がなんともファンキーなところです。 



ホックニーが語るホックニー    デヴィッド・ホックニー  PARCO出版   19840306 初版 

今はへんな本しか造っていないみたいだけれど、このPARCO出版は 、西武文化華やかなりし80年代に、

ちょっといい現代美術の本(いかにも西武的なチョイスではあったけれど)を造っていて、この本もその1冊。 

「待望の日本初の作品集」と帯に記されているように、その頃ホックニーはトップランナーのひとりだった。 



イエスタデイ・ワンス・モア    小林信彦  新潮社  19920420 16刷      

とにかくこの人の本が均一台にでていれば、必ず買います。 それにしてもこの本が16刷とは。 



ユリイカ  2007 5月号   特集ル・コルビュジェ  青土社 

今年5月に六本木ヒルズの森美術館で開催されたル・コルビュジェ展にタイミングを合わせた特集号。 

探してみたら、同じユリイカの1989年の「総特集ル・コルビュジェ」という臨時増刊も本棚にあった。

売れるんですねこの人の特集。 



柔らかい個人主義の誕生    山崎正和  中央公論社  19850405 13刷     

「柔らかい個人主義」というコトバ自体がとても魅力的で、個人主義というものの本質をわかりやすく説いて

くれた名著だけれど、結局彼が言っていた成熟した合理的(モダン)な消費社会というのは、けっきょくこの国

には訪れなかった。 今この社会にある消費は、ただ欲求を即座に満たすことだけを目的にした自己満足的な

もので、成熟とは正反対の野放図なアクションでしかないように思える。 

だからこそ「癒し」なんていうものが消費のキーワードになってしまうのだ。


*


さて最後に昨日、いつものTでの仕入れ。


曼荼羅イコノロジー   田中公明   平河出版社1  9901210 3刷    

ダナエ         藤原伊織   文藝春秋  20070115 初版  

地獄の読書録      小林信彦   集英社  19800925 初版   

東京装置        小林紀晴   幻冬舎  19980210 初版   

五条坂陶芸のまち今昔  田村喜子   新潮社  19880915 初版   

THE DAY 崩御から24時間の東京・全瞬間  編情報センター出版局  19890222 初版

Mac の知恵の実      牧野武文   毎日コミュニケーション  20000219 初版

活字のサーカス       椎名誠   岩波新書  19880325 10刷   

術語集         中村雄二郎   岩波新書  198801181 4刷   

Arne 1 2002-10-30/No.01    柳宗理さん、使いやすいキッチン道具をありがとう

Arne 3 2003-04-15/No.03    村上春樹さんのエッセイ「言いだしかねて」

Arne 5 2003-10-15/No.05    堀井和子さんにパンの作り方を教わりました 

Arne 7 2004-03-15/No.07    「古道具坂田」の坂田和實さんの美術館「as it is」

Arne 17  2006-09-15/No.17    松浦弥太郎さん COW BOOKS の移動古本屋仙台に行く


モダンな暮しの手帖といったおもむきの大橋歩編集「Arne」の大量(といっても10冊ですが)放出があった。 

予算の都合でそのうちの5冊しか買えなかったけれど、次ぎいったときに残っていたら必ず買おう。 


安い本ばかり買っていると時たまガツンとメインディッシュのような本が買いたくなってしまうんだけれど、

そんな時杉浦康平さんの装丁した本は、本棚で背表紙映えがして、ついつい買ってしまう。 

この「曼荼羅イコノロジー」もそういう本のひとつ、杉浦康平には曼荼羅がよく似合う。 


ダナエは、5月に亡くなった伊織さんの遺作短編集。  

当本棚の性格上、なかなかエンターテインメント小説の新刊は買いづらいというのが正直なところだから、

1月の新刊がこうやって古本として登場するのはちょっと嬉しい、さっそく読みふけりたい。

「名残り火」も早くでてこい。



単行本19 / 文庫・新書2 / 雑誌13  計34冊 



一見なんの脈絡もないブックリストだけれど、こうやってひととおりを眺めてみると、コトバノイエの本棚の

見事なまでの縮図であることにあらためて愕然とさせられる。 



でもプロになったからといって、そう簡単に好きな本が変わるわけないよね。



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10月9日はジョンの誕生日だ。


たしか1940年生まれだから、生きていれば67才ということになる。


ポールが2才、ミック・ジャガーは3才年下だったはずだから、生き残った彼らはふつうに老人と呼ばれても

おかしくない年齢になってしまったわけだけれど、本の中の写真を眺めているとジョンだけがそのままで、

それがなんだかとても不思議な感じだ。


1980年に撃たれたジョンはいつまでも40才のまま、そして残された者は、ヨーコやショーンでさえ、

じいさんやばあさんになっていく。


ジョンが撃たれた直後の「Newsweek」と「TIME」がある。

どちらも極東版のようで、中身は英字だけれど、表紙には400円という価格と日本の雑誌コードの表記があり、

発行日は1980年12月22日。


Newsweek のほうは、おそらくビートルズの頃の、tranquil としかいえないような眼をしたジョンのモノクロの

写真 ( by  Avedon) が表紙になっていて、" Death of a beatle " という記事で、あの日のことやビートルズのこと

が語られ、" he is still with us " というヨーコのメッセージで終わっている。


TIME の表紙は、Daniel Maffia というひとが描いた晩年のジョンのイラストレーション、 " When the Music Died " 

というタイトルで特集が組まれていて、あの暗殺の衝撃の大きさを伝えている。



あの時はこんなことをしていたんだと思い起こさせるような出来事が誰にもあると思うけれど、間違いなく

この事件はそのひとつで、ジョンの死を想うたびに、1980年12月8日の自分を鮮やかに思い出す。


あれからもう27年が経ってしまったなんて信じられないけれど、John Lennon のようにこの地球のどこかで

生きていてくれるだけで OK なんていうトリックスターは、もうあり得ない時代に生きているんだと、

つくづく感じさせられる。



でもとにかく、Happy birthday, John.    I believe you are still with us.



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■ NEWSWEEK     December 22, 1980   John Lennon 1940-1980   ¥3,000    ORDER

■ TIME     No.51 DECEMBER 22,1980   When the Music Died     ¥3,000       ORDER

雑誌というメディアは、そのときどきの気配や雰囲気をリアルに映す鏡のような存在だと思います。
いつも振り返ってばかりじゃしょうがないけれど、単行本と違って雑誌のバックナンバーには手に入り
にくいものもたくさんありますから、古本としては、実はなかなか貴重なものじゃないかと考えています。

■ Happy Birthday, John.           ビートルズ・シネ・クラブ編集  19901101   ¥2,000     ORDER

ジョンの50回目の誕生日を記念して催された展覧会の図録。
ジャケットサイズの大型本に、ヨーコさんから提供されたジョンの愛用品やスケッチなどが掲載されています。




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珍しく新刊を何冊か買った。



まず敬愛する小林信彦さんの新刊「日本橋バビロン」。


 
一昨年の「東京少年」、昨年の「うらなり」に続く長編で、こうやってこの人から年に一回届く滋味深い小説と、

「人生は五十一から」シリーズのコラム集は、ちょっと偏屈な東京のおじさんからの便りのようで、しみじみと

うれしくなってくる。



最初に発表された文學界の2007年4月号ですでに読んでいた作品だが、あらためて単行本という体裁になると、

やはり存在感がまったく違う。 もちろん初出から加筆もされ、創作ノートというあとがきが附されていることも

値打ちだが、なんといっても弟泰彦さんの装画が素晴らしい。



晩年になりますますこだわりが深まる昭和の東京(=望郷)への想いを、実名でありながら私小説にもクロニクル

にもせず、さらりとした味わいの物語(narrative)に仕上げるセンスは、この人ならではのものだろう。


 
「私」とその生家を軸に、さりげなく行き交う親と子の大河。

そしてこの老舗和菓子屋の三代記は、時間が今に追いついたところで、衝撃的に終わる。


それはまるで「落ち」がついた、とでも呼びたいような渋いエンディングだ。



小林信彦は含羞の人である。


そしてその羞じらいの感覚は、東京に生まれ育った人ならではのものだなあとつくづく思う。




買ったのはamazon、定価が1,550円なのは、ひょっとしたら送料無料条件に合わせているからだろうか?

 

 


*

 

 


あとの2冊は古書店で買ったものなので厳密にいうと新刊ではなく新古というべきかもしれない。

 

 


茶の本の100年   ワタリウム美術館監修
 

 


愛と哀しみのル・コルビュジェ   市川智子

 

 


前者は、岡倉天心の「茶の本」刊行100年を記念して2006年 9月に開催された展覧会・国際シンポジウムを

基に編集・構成された目録本で、2007年8月1日発行。



コンテンポラリーアートの雄、ワタリウム/オンサンデーズの監修だけに、磯崎新、松岡正剛といった執筆陣

やその構成もややハイブロウな雰囲気で、さすがに造本も美しいが、価格も3,400円と立派である。



原著「茶の本」は、もともと「The Book of Tea」として1906年にニューヨークで発刊されたもので、ある意味で

日本の文化・芸術・デザインの真髄ともいえる「茶の湯」に興味がある人なら必読の一冊。



ひとことでいってしまうと茶の湯の宇宙を総合芸術(東洋)としてとらえ、それを欧米の人々(西洋)に紹介する

ために書かれた本、ということだと思うが、そこに貫かれているのは、「不完全なものへの美学」という日本独

特の美の概念で、このあまりに感覚的な美学がほんとうにあの合理の人たちに解るんだろうかという想いも

 

捨てきれない。


最終的には「侘び・寂び」こそが、peace of mind だというところに行きついてしまう世界だから。




もう一冊は、「ついにマンガになった」コルビュジェ。


建築書で有名な彰国社の建築文化シナジーシリーズの最新刊である。


ル・コルビュジェはもちろん巨匠といってもいい20世紀を代表する建築家で、モダニズムのカリスマともいえる

人なんだけど、とりわけ日本での人気が高いようで、さればこそこういったマンガというスタイルにまでなって

しまうのだろう。


でもこの本には、「虚構のなかに、真実を宿らせること。これが〈建築を通して世界をまるごと好きになろうと

した建築家の生き方〉を描くためにわたしが選択した方法である。」というこの若いイラストレーターの、コルブ

先生にたいする「愛」のある視線があちらこちらにちりばめられていて、それがとても素直で好ましい。


どうしても男の世界になりがちな建築書のなかにあっては、異色の好著といってもいいでしょう。

丸い眼鏡をかけたちょっとヘナチョコ顔のコルブ先生が、なんだかとても素敵に見えてきた。


 「愛と哀しみの」とはいかにも手垢のついた言葉だが、この本のタイトルとしては言い得て妙、であります。




それにしてもこの本、奥付を見ると2007年10月10日の発行ということになっている。

 

今週の読売新聞の書評欄にこの本の記事が載っていて面白そうな本だなあと思っていたんだけれど、早くも


古書店に並んでいた。 
古本としてはやや高めの価格設定ではあるけれど、クオリティはほとんど新品と変わ

らない。でも再販制と
いうものがなくなると、新刊がこういう価格で普通の本屋さんに並ぶっていうこともある

わけだから、こうなると
新品と古書の違いは売られている「場」でしかないという風にも思えてくる。
 

 


新米の本屋としては、こういう本の安定した入手ルートを確保したいもんだと思う。

 

 

 

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□ 茶の本の100年   ワタリウム美術館 監修 小学館スクゥエア 20070801 初版 ¥2,700 ORDER

 

□ 茶の本    岡倉覚三 ソーントン不破直子訳 社会思想社 19951030 初版 ¥800 ORDER

 

□ 愛と哀しみのル・コルビュジェ   市川智子 彰国社 20071010 初版 ¥1,500 ORDER

 

□ 日本橋バビロン   小林信彦 文藝春秋 20070915 初版  ¥1,100 ORDER

 

    小林信彦の本のストックリスト



 

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