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古寺巡礼


和辻哲郎
岩波書店     19400430 16刷      ¥2圓50銭
この69年前の本のたたずまいに魅かれたという木村さん

日本文化を語るエッセイとしては、古典中の古典といえる一冊で、
誰もが知っている名著ですが、このオリジナルの体裁(1919年初
版)は、さすがに独特の雰囲気をもっています。

この古寺仏像をめぐって何かを語るという、いまではスタンダードに
なった文化論やエッセイのスタイルは、この人が編み出したもので、
たとえば、みうらじゅんといとうせいこうの快作「見仏記」のシリー
ズは、その典型ですが、若きモダニストが、奈良の古びた仏像を前
に、リアルタイムで何かを語るということ自体が、当時としてはとても
斬新なことだったのではないかと思います。


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