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「なんか一冊じゃなくひとまとめに括りたいんですよね、この辺」
という木村さんのリクエストで登場したスタイル、「三位一体」。

この3冊は晶文社というくくりです。

いささか世代的なニュアンスが濃いですが、犀のマークの本は
木村さんならずとも、本屋では気になるブランドのひとつです。

この時代の晶文社の本に感じていたのは、端的にいうとアメリ
カのウエストコースト、カリフォルニアの若者の自由な(そう見え
た)ライフスタイルだったんだろうと思います。

そんな雰囲気をもっとも良質に伝えているのがこの3冊、
それほど珍しい本ではないのですが、どれもリアルタイムで
入手したもので、オブジェとして、シワやシミごと保存しておき
たい本なのです、ノスタルジイではなく。

■ 「アメリカの鱒釣り」はジャケットが印象的です。
サンフランシスコの市街、ワシントン・スクェアにあるベンジャ
ミン・フランクリンの銅像の前に立つブローティガン。
このジャケットこそが「アメリカの鱒釣り」なんだと思えてきます。

「マヨネーズ」という言葉とともに終わる47の比喩に満ちた断片。

彼が自死で生涯を終えたことを考えると、けっきょく自分がつく
る幻想以外に、居場所のなかった人じゃなかったかと思います。

■ 「アウトロー・ブルース」
ポール・ウィリアムスは、ブローティガンと並ぶピッピー世代最
良の書き手のひとり、ロックという音楽を自分の言葉で情熱的
に語った人類初のロック評論家です。

彼に影響を受けた自称音楽評論家は日本にもたくさんいますが
結局誰も彼のように音楽を語ることと自分のライフを同一化する
ことができなかったわけです。

この本の真摯で瑞々しい言葉は、限られた季節の一瞬の輝き
に満ちています。

■「10セントの意識革命」
この本と、「ぼくはプレスリーが好き(1971)は、ウエストコースト
からの黒船だった。片岡義男が、クールな文体で切り取るアメ
リカの様々な風景(SCENE)に、ひたすら憧れた。

片岡義男のアメリカこそがアメリカだった頃の話。

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アメリカの鱒釣り TROUT FISHING IN AMERICA
リチャード・ブローティガン
晶文社     19751220 5刷    ¥1,200
FR   not for sale

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アウトロー・ブルース OUTLAW BLUES
ポール・ウィリアム
晶文社     19720930 1刷     ¥880
FR not for sale

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10セントの意識革命
片岡義男

晶文社     19810310 10刷     ¥1,200
GD     ¥800

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